集成材を使って家をつくった方がよい?集成材のメリットとは
日本人にとって馴染み深い木材ですが、実は「集成材」と「無垢材」という2種類あるのはご存じでしょうか。「集成材」は複数の木材を集めて作られる木材で、「無垢材」は伐採した木をそのまま切りだした天然の木材です。今回の記事では「集成材」について紹介するため、注文住宅を建てる予定の人、木材に関する知識を得たい人は参考にしてください。
集成材とは
集成材とは、複数の木材から作られる人工の木材です。切り出された木材のピースを乾燥させ、繊維の方向を合わせて接着し作られます。「余った木材の寄せ集め」というイメージを持っている人もいるでしょう。しかし、木の節や割れといった欠点を取り除き、木材のよい部分を結集し作られた木材なのです。
用途に応じ大まかに分けると、強度に優れた集成材を「構造用集成材」といい、美観に優れた集成材を「造作用集成材」といいます。構造用集成材は住宅の柱や梁といった構造に使われ、造作用集成材は住宅の内装や家具に使われているのです。
また、新築住宅を考えている人は「ホルムアルデヒド」や「シックハウス症候群」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。実際にシックハウス症候群は1990年代に社会問題となり、集成材は人体に悪影響を及ぼすもの、と認識している人も少なからずいるのが実情です。シックハウス症候群の主な症状は、頭痛やめまい、目、鼻、喉の痛みなどがあります。ホルムアルデヒドという化学物質を含む接着剤の使用が原因の1つと考えられていましたが、現在は建築基準法が改正され、建物を建てる際のホルムアルデヒドの使用は制限されています。以上のことから、現在の集成材はシックハウス症候群のリスクも少なく、以前より安全なものとなっているのです。
集成材の特徴
一般住宅や家具によく使われている木材も集成材ですが、用途によって「構造用集成材」と「造作用集成材」に分類されます。
構造用集成材
構造用集成材は、日本農林規格(JAS)に基づき厳格に品質管理されているため、強度と安定性があります。その強度を活かして、住宅の柱や梁、土台に使われているのです。耐水性もあり品質も高水準となっているため、建造する際に大工の腕による差がほとんど出ません。
造作用集成材
造作用集成材は美観に優れ、特殊なサイズ・形状にも対応しています。用途もさまざまなものに対応しており、住宅の造作用、構造物の内部造作用、家具用と用いられているのです。DIY用としてホームセンターで販売されている木材も、造作用集成材となっています。
集成材を使うメリット
天然の木材である無垢材と比較され、デメリットが多いイメージを用いられがちです。しかし多くのメリットがあり、現在は多くの住宅メーカーや工務店が集成材を使うことが増えています。ここでは集成材のメリットを紹介しましょう。
高品質
集成材は1本の木を細かく切り出して作るため、無垢材と比べてロスが少ないです。細かく切り出しているといっても、残った木材を使用しているわけではございません。そのため環境に優しいというメリットがあります。切り出した木材をパーツごとに乾燥させて作られるので、湿気に強く、反りや割れが起こりにくくもなっているのです。無垢材は切り出した部位ごとに強度が異なりますが、集成材は複数の部位からでき上がるので、品質のバラツキも非常に少ないことでも特徴となっています。
高品質ゆえ扱いやすい
無垢材は、天然の木の美しさや温かみがあり人気の木材ですが、天然の木であるがゆえの扱いの難しさがあります。その点、集成材は製造過程で乾燥されているため、反りが起こらず、寸法の狂いが出ないことが特徴です。また無垢材と比べ大量生産でき、職人の腕による差も出にくい扱いやすい木材のため、現在多くの業者が使用しています。
強度が高い
集成材は、品質が安定しているだけでなく、強度も高いようです。これは、集成材の強度が建築基準法で定められているためです。日本は地震が多い国として有名で、小さな揺れも含めると地震が頻発しています。いつか大地震が来るかもしれない、という不安を抱えている以上、少しでも安全な家に住みたいと思うのが一般的でしょう。無垢材と比べ、強度が高い集成材を使用した住宅であれば、より倒壊のリスクを抑えられるかもしれません。今や長期間安全性が必要な家、高気密高断熱の性能が必要な家には必要不可欠な材料となっています。
自由な形状
細かい木を接着させて製造するため、無垢材にはない形状が実現可能です。厚みや長さを調節できるのはもちろんですが、湾曲材を製造することも可能となっています。必要な用途に応じ、さまざまな形状を製造できるのは、集成材ならではのメリットといえるでしょう。
集成材とは、複数の木材を接着して作る人工の木材です。現在日本の住宅は、集成材が多く使われています。理由として、集成材にはさまざまなメリットがあるためです。品質は安定し、扱いやすい木材といえます。また、無垢材では実現できない形状や厚み、長さが可能となっており、さまざまな用途で利用されているのです。無垢材と集成材、それぞれの特性を理解し、用途に合った木材を選びましょう。